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知っておきたい住宅ローンとの関係 転職すると住宅ローン審査に通りにくい?

近年、転職はキャリアアップなど、良いイメージを持たれることも多い傾向です。しかし、住宅ローンを申し込みする場合は、転職が審査にマイナスとなる可能性もあります。転職を機にマイホームの購入を検討している場合は、審査への影響が気になる人もいるかもしれません。

本記事では、統計をもとに転職と審査の関係を探っていきます。転職と住宅ローン利用の時期が重なりそうな人は、できるだけ審査でマイナスとならない工夫をしておきましょう。

加えて、住宅ローン返済中に転職する場合の注意点や対応についても紹介しているため、転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。


目次

  1. 転職は住宅ローンの審査に影響する?
  2. 転職が住宅ローン審査に影響するのはなぜ?
  3. 審査基準はさまざまな項目が総合的に判断される
  4. 住宅ローン返済中に、転職する場合の注意点
  5. まとめ

転職は住宅ローンの審査に影響する?

「転職」が住宅ローンの審査に影響するかどうかを探るために、金融機関が住宅ローンの審査でどんな項目を重視しているのか確認してみましょう。


勤続年数が1年未満は不利となる可能性も

国土交通省が国内の銀行・信用金庫など、住宅ローンを取り扱っている民間金融機関に対して行った「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」では、融資を行う際の審査で考慮する項目を調べています。
このなかから、申込者の就業関連に関する項目をピックアップしてみました。

  • 年収(92.9%)
  • 勤続年数(93.2%)
  • 雇用形態(71.6%)
  • 業種(34.4%)
  • 雇用先の規模(25.4%)
  • ※ 複数回答

同調査によると、「転職」という項目はないものの、93.2%の金融機関は審査で勤続年数の長短を考慮すると答えています。転職自体が住宅ローンの審査に影響するというよりも、「転職で勤続年数が短くなること」が審査で重視されているようです。

ちなみに、勤続年数を考慮する金融機関の割合は、過去の調査(令和2年度・令和3年度)と比べてもほとんど変わりません。住宅ローンを提供する金融機関にとって勤続年数は、大切な項目といえます。

では、どれくらいの年数を基準にしているのでしょうか。同調査で、最も回答率が高かったのは「1年以上」で、勤続年数を考慮するとした金融機関の約62%が該当します。しかし、「3年以上」とする金融機関も約14%あります。実際の審査での基準は金融機関によって大きく異なるでしょうが、以下を目安に考えておくといいかもしれません。

  • 比較的安心:転職後2~3年経過している
  • 必要最低ライン:1年以上
  • 不利になる可能性あり:1年未満

雇用形態が変わる転職は不利にも有利にもなりうる

「転職」が住宅ローンの審査に影響を及ぼす可能性として、「雇用形態が変わること」も考えられます。ひとくちに転職といっても、正社員から正社員への転職とは限りません。

  • 正社員→契約社員(派遣社員)
  • 契約社員(派遣社員)→正社員
  • 正社員→自営業
  • 契約社員→自営業など

先述の調査では、71.6%の金融機関が審査で考慮する項目に「雇用形態」を挙げています。勤続年数ほどではありませんが、住宅ローンの審査判断において雇用形態も大切な項目のようです。

実際、派遣社員や契約社員を融資対象外とする金融機関も多いことを考えると、例えば「正社員→契約社員(派遣社員)」という転職の場合、審査で不利になる可能性があります。

逆に、「非正規社員→正社員」への転職の場合は、収入が安定していると評価されれば有利になる可能性もあるでしょう。一方で、自営業者への転職の場合は、収入が不安定と見られがちなため、住宅ローンの申し込みをする際には注意が必要です。


転職が住宅ローン審査に影響するのはなぜ?

ここからは、住宅ローン審査における転職の影響を掘り下げていきましょう。住宅ローンの審査では、勤続年数や雇用形態が重視されることがわかりました。しかし、住宅ローンの審査に通るかどうかの基本は「返済能力があるかどうか」です。

上述したデータでも「年収」は92.9%の金融機関が考慮すると答えています。一般的に、住宅ローンは借入金額が大きく、毎月の返済額が家計支出に占める割合も大きくなります。そのため、返済能力を測る項目として重視されるのは当然でしょう。

しかし、ひとくちに年収といっても、「金額面」と「安定面」の2つの視点があることは押さえておきたいポイントです。「金額面」については、一般的に勤続年数が短い場合は収入が低いケースが多く、転職で収入が低下していれば返済能力が懸念されるかもしれません。
とはいえ、近年は転職後の収入が前職と同等程度であったり、前職よりも上回っていたりする人もいます。現職での収入額は、収入証明書などで確認できますし、それほど気にならないケースもあるかもしれません。

一方で、収入の「安定面」では「転職」そのものが審査で不安視される可能性があります。なぜなら、転職者のなかには、転職前に考えていた条件と転職後すぐに受けられる待遇が違い、すぐに辞めたり転職を繰り返したりするケースがあるからです。

住宅ローンは20、30年という長期間の返済が続くため、その間にずっと安定した収入が見込めるかどうかが大切なポイントとなります。転職を何度か繰り返す可能性は、収入の安定性に欠けると考えられかねません。

金融機関側だけでなく、住宅ローン申込者にとってもリスクが大きいと考えられるため、審査がより慎重になるのは仕方のない一面があります。長期的な収入の安定性に欠けるという点では、あらかじめ雇用期間が決められている派遣社員や契約社員も同様です。


審査基準はさまざまな項目が総合的に判断される

上述したように、転職の内容によっては、いくつかの項目でより慎重に審査されるようになるのはたしかです。しかし、住宅ローンの審査で重要とされる項目は、他にもたくさん考えられます。多岐にわたる審査項目を総合的に勘案したうえで、融資可否や融資額が判断されることを忘れてはいけません。

できるだけ、どんな項目が重視されるポイントなのかを押さえて、それらの項目ではマイナスに判断されないように、きちんと条件を整えておくことが大切です。

完済時年齢
どの金融機関も、申込者の完済時の年齢を定めています。完済時年齢から現在の年齢を逆算し、借入期間を長くしすぎないようにして申し込むのがいいかもしれません。
借入時年齢
借入時の年齢も申込条件で設定されています。金融機関のホームページなどで、きちんと確認しておきましょう。
返済負担率
年収に対する年間の返済額の割合が返済負担率(返済比率)です。収入と返済額のバランスを見たときに、返済額(借入額)の割合が大きいと返済が難しくなる可能性が高まります。
利用しているローンが他にある場合は、それらの返済額も合計して年収の3割以内に抑えるのが理想です。
物件価値と借入額のバランス
住宅ローンでは、融資対象となる物件の担保評価も重視されます。担保評価とは、実際に売買される金額ではなく各金融機関が独自に査定を行い算出する物件の評価額です。担保評価額に対して借入希望額が大きくなると、審査に通らない可能性があります。
年収
転職をしたばかりの場合は、見込年収が分かる書類を提出しましょう。
カードローンなど他の借入状況など
返済負担率の部分でも述べましたが、利用しているローンが他にある場合は、審査に影響します。借り入れしている金額だけでなく、滞りなく返済しているかといった信用情報も詳しく確認されるため、住宅ローンを申込前に完済するのも選択肢のひとつです。

返済を続ける場合でも、絶対に延滞しないようにしましょう。


住宅ローン返済中に、転職する場合の注意点

住宅ローンを借りた後に転職する場合、注意すべきことはあるのでしょうか。確認してみましょう。


収入の変動による返済計画の見直しが必要

転職によって収入が変動した場合、改めて返済計画を見直してみましょう。
収入が上がった場合、収入が下がった場合のそれぞれについて、どのように対応すべきか解説します。

収入が上がった場合

転職によって収入が上がった場合、これまでの返済計画に無理がなければ特段計画を変える必要はありません。完済までの期間を短くしたい方や毎月の返済額を抑えたい方は、余裕が出た分で繰上げ返済などを検討すると良いでしょう。

転職からある程度年数が経っている場合は、借換えを検討するのも一つの選択肢です。新規借入時よりも収入が上がり、他の条件に問題がない場合は、これまでよりも有利な条件で借換えできる可能性もあります。

収入が下がった場合

転職によって収入が下がった場合、家計の状況によっては今後のローン返済が難しくなる可能性もあります。そのような場合は、早めに対策を取りましょう。

退職金やこれまでの貯蓄などで手元にある程度まとまったお金がある場合は、繰上げ返済を行って元本部分を削減するのも一つの手です。元本が減ることで利息も減るため、最終的な支払い総額を抑えやすくなります。返済期間を短くするのではなく、毎月の返済額を減らす返済額軽減型の繰上げ返済を行えば、月々の返済額を減らすことで無理なく返済を続けられるかもしれません。

繰上げ返済を行うためのお金がない場合は、金融機関に返済期間の延長ができるか相談しましょう。返済期間を延長できれば、毎月の返済額が減るため、家計への負担を抑えやすくなります。ただし、返済期間を延ばすと、その分利息が増えて、最終的な支払い総額も増えやすくなる点は覚えておきましょう。いずれにせよ、今後の返済が厳しいと感じる場合は、速やかに金融機関に相談するのをおすすめします。


金融機関への報告が必要

住宅ローンの返済中に転職する場合、金融機関への報告が必要です。住宅ローンの契約約款では、転職で勤務先が変わった場合は金融機関に報告するように定められているのが一般的です。

適用金利などの借入条件が変わることは原則としてありませんが、転職した場合は速やかに金融機関に連絡しましょう。

転職は金融機関にばれる?ばれた時はどうなる?

住宅ローンの返済中に転職を行ったとしても、基本的に金融機関にばれてしまうことはないでしょう。ただし、金融機関から勤務先に急な連絡があるなどすると、実際には報告している勤務先に在籍していないことが判明し、転職がばれてしまうかもしれません。返済が滞らない限り、返済中の転職は特に問題ないため、自分から金融機関に報告するようにしましょう。

ただし、審査終了から融資が行われるまでの転職には注意が必要です。融資や物件の引き渡しが行われるまでに転職してしまうと、再審査を行う必要が生じたり、審査基準に満たない場合は契約解除となったりするリスクがあります。トラブルを発生させないためにも、返済が始まってからある程度期間の余裕をもって転職するのが良いでしょう。


住宅ローン控除のための手続き

住宅ローン控除を利用している間に転職を行う場合は、転職の時期に応じた所定の手続きが必要です。

会社員の方が同じ年の間に退職と再就職を行った場合は、年末調整の対象となるため、転職先の企業で手続きを行います。住宅ローン控除の計算に必要な所得税額は、前職と転職先の両方の収入を合計した金額で計算されるため、転職先に前職の源泉徴収票を提出する必要があります。

退職した年に再就職を行わなかった場合は、確定申告の手続きが必要です。前職の源泉徴収票をもとに、自身で確定申告を行うことで、住宅ローン控除を受けられます。翌年以降に再就職した場合は、再び年末調整による住宅ローン控除手続きが可能です。


まとめ

実際の審査基準は、金融機関によって異なります。一般的に転職後の勤続年数が短い状況では、住宅ローンの審査に不利になる可能性があります。

しかし、あくまで審査は総合的な項目を精査して判断されるため、ケースバイケースです。審査では勤続年数や雇用形態以外の項目でも重視されるものもあります。どのような項目があるかを押さえたうえで、返済能力が高いと評価されるように考慮しておくと安心です。

具体的にどのように返済を行うかイメージしておくのも大事です。住宅ローンシミュレーションを利用すると、希望する借入額、金利、返済期間などから毎月の返済額を手軽に計算できます。

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