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住宅ローン控除が変更される!
2022年度税制改正を要チェック

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを購入したい方にとってうれしい税制優遇制度です。マイホームの購入を検討している場合は、制度の内容をしっかりと押さえておきたいものです。

2022年度の税制改正で住宅ローン控除制度の内容に変更がありました。今回は、税制改正で変更された制度の内容について解説します。


目次

  1. 住宅ローン控除とはどのような制度?
  2. 住宅ローン控除とはどのような制度?
  3. 認定長期優良住宅等の住宅ローン控除についても要確認

住宅ローン控除とはどのような制度?

住宅ローン控除の正式名称は、「住宅借入金等特別控除」といいます。この制度は、住宅ローンを利用してマイホームの新築や取得などをした場合に、住宅ローンを利用した方の金利負担を軽減することを目的とした制度です。

住宅ローン控除は、毎年12月末日の住宅ローンの残高と住宅を取得した対価のいずれか少ない金額をもとに計算し、その一定割合が所得税から控除される仕組みになっています。

控除の方法は、年末調整や確定申告によって最終的に計算した所得税額から住宅ローン控除で計算した金額を直接差し引く税額控除で、所得税そのものの軽減ができます。税金を計算する際の課税所得金額を減らせる所得控除とは異なることも覚えておきましょう。

この制度では、マイホームの新築や取得をして入居した年から一定期間、毎年所得税から控除額を差し引くことが可能です。また、所得税から控除しきれない金額があった場合には、その一部が住民税から控除されます。


住宅ローン控除2022年度改正の内容について

2021年12月31日で期限が終わる予定だった住宅ローン控除は、2022年度税制改正によって、2025年(令和7年)12月31日まで4年間延長され、内容の一部に変更がありました。

2021年までに入居して住宅ローン控除を受けている方は、2022年度税制改正の適用は受けず、改正前の住宅ローン控除を受けられます。また、新型コロナウイルス感染症の影響により入居が遅れて2022年中に入居を予定している方もいるでしょう。

注文住宅の請負契約や、分譲住宅の売買契約の締結期間など一定の条件をクリアしていて、2021年度税制改正で決定された措置が受けられる方は、2022年度税制改正の適用は受けず、改正前の措置を受けることが可能です。

法改正が適用される2022年1月以降の入居分からは、主に以下の項目で内容が変更されています。その変更内容を見ていきましょう。

【住宅ローン控除2022年税制改正の主な変更内容】

  • 控除率の変更
  • 控除年数の変更
  • 借入限度額の変更
  • 所得要件の変更

控除率の変更

控除率が住宅ローンの年末残高の1%から0.7%に引き下げられます。各金融機関の住宅ローンの金利が低下し、2022年3月現在は金利が1%以下の住宅ローンは珍しくありません。

そのため、住宅ローンの金利が1%以下の場合、住宅ローン控除の金額が実際の住宅ローンの支払い利息よりも高くなり、支払い利息よりも控除できる税金のほうが大きくなる、いわゆる「逆ザヤ」が発生するケースが多くありました。

住宅ローンの金利は、変動金利で0.4%台(2022年3月時点)の金利を提供しているネット銀行もあります。例えば、2021年3月に4,000万円の住宅ローンを35年、年利0.4%を元利均等返済で借りたとしましょう。

1年目の支払い利息を合計すると約16万7,000円です。住宅ローン控除の金額は、2021年12月末残高(約3,920万円)の1%で計算すると約39万2,000円となり、約22万5,000円もの逆ザヤが発生します。

1年間で約22万円としても、住宅ローン控除が受けられる10年間分を計算すると大きな金額となるでしょう。このような背景もあって、今回の改正で控除率の変更が行われました。


控除年数の変更

新築住宅の取得の控除年数は、13年に変更されます。中古住宅や住宅の増改築は、現行と同じく10年のままです。2022年3月現在は、新型コロナウイルス感染症の影響による特例の条件に該当すれば、控除年数は13年となっています。

この13年という控除年数が、法改正によって特例とは関係なく維持されることになったのです。ただし、中古住宅の取得や住宅の増改築は一律10年となるため、注意しましょう。また、2024年以降に入居する場合も控除年数は10年です。

入居年 控除年数
2022年・2023年 13年
2024年・2025年 10年
  • ※ 中古住宅の取得や住宅の増改築(リフォーム)は一律10年

借入限度額の変更

2021年度までは、4,000万円までだっ た借入限度額が、3,000万円に変更されます。中古住宅の取得や住宅の増改築は2,000万円です。2024年、2025年入居の新築住宅取得については借入限度額が2,000万円となりますが、2023年までに新築の建築確認を受ける必要がありますので、注意しましょう。

入居年 借入限度額
2022年・2023年 3,000万円
2024年・2025年 2,000万円
  • ※ 2024年・2025年に入居するものについては、2023年までに新築の建築確認が必要

所得要件の変更

2022年以降は、住宅ローン控除適用対象者の所得要件が、現行の3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられます。そのため、所得が2,000万円を超える場合、住宅ローン控除が受けられません。


認定長期優良住宅等の住宅ローン控除についても要確認

ここからは、「認定長期優良住宅」の建築購入を検討している方向けに、認定長期優良住宅等の住宅ローン控除について解説します。「一般の住宅」の改正内容との相違点について見ていきましょう。住宅の種類は、大別すると以下の4種類です。

  • 認定住宅
  • ZEH水準省エネ住宅
  • 省エネ基準適合住宅
  • 一般の住宅
  • 認定住宅
    長期にわたって良好に使用するための構造や設備を有する住宅として一定の基準を満たして認定を受けた「認定長期優良住宅」と二酸化炭素の排出基準など一定の基準を満たした「認定低酸素住宅」に2つが該当します。
  • ZEH水準省エネ住宅
    断熱・省エネ・創エネの3つの要素を組み合わせて1次エネルギー消費量の収支ゼロを目指した環境に配慮している住宅です。
  • 省エネ基準適合住宅
    「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」に基づき省エネルギーの一定基準を満たしている住宅を指します。
  • 一般の住宅
    上記以外の住宅を指します。

住宅の種類ごとに、控除年数や借入限度額の違いを一覧表で見てみましょう。

【2022年税制改正後の住宅ローン控除】

住宅の種類 入居年 控除率 所得要件 控除年数 借入限度額
認定住宅 2022~2023年 0.7% 2,000万円以下 13年 5,000万円
2024~2025年 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 2022~2023年 4,500万円
2024~2025年 3,500万円
省エネ基準適合住宅 2022~2023年 4,000万円
2024~2025年 3,000万円
一般の住宅 2022~2023年 13年 3,000万円
2024~2025年 10年 2,000万円
認定住宅等(中古住宅) 2022~2023年 10年 3,000万円
2024~2025年
一般の住宅(中古住宅) 2022~2023年 10年 2,000万円
2024~2025年
住宅の種類 入居年 控除率 所得要件 控除年数 借入限度額
  • ※ 2024~2025年に入居するものについては、2023年までに新築の建築確認が必要

今回の税制改正後は、住宅の種類によって控除額が異なります。環境にやさしい住宅ほど住宅ローン控除のメリットがより大きくなるように改正されているところが大きな特徴です。0.7%の控除率と2,000万円以下の所得要件は一律となっています。

また、「認定住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」ともに、2022年と2023年の控除期間は13年です。しかし、中古物件の控除期間はすべて10年となります。現在住宅ローンの控除を受けている方の中には、「控除率が1%から0.7%に変更されるのではないか」と心配になるかもしれません。しかし、2021年までに入居して住宅ローン減税を受けている方は、改正前の控除率が適用されるため、心配ありません。

住宅ローンをすでに利用している方の場合、より金利の低い金融機関へ借り換えを検討するケースもあるでしょう。しかし、条件を満たしていれば、借り換えをしても控除を継続することはできます。


まとめ

住宅ローンを利用してマイホームの新築や取得などをした場合の金利 負担軽減を目的とした制度です。2022年の税制改正によって、住宅ローン控除の制度の内容は大きく変更されました。

環境にやさしい住宅ほど控除額が有利になるように変更されており、政府が環境に対する取り組みにどれだけ力を入れているかわかるでしょう。これからマイホーム購入を計画するのであれば、住宅ローン控除がより有利に受けられる、環境に配慮した住宅の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

◆氏名
加治 直樹(かじ・なおき)

◆保有資格
1級FP技能士
社会保険労務士

◆プロフィール
銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務を経験。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得。退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

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